法人ネットワーク設計 / VPN
法人VPNは、誰と何をつなぐかから選ぶ。
支店の接続と、在宅勤務。必要な仕組みは同じではありません。
VPNという名前だけで選ばず、使う人・接続先・止められない業務を整理。自社に必要な範囲から、回線と運用を決めましょう。
01 / まず接続の目的を分ける
「拠点同士」か、
「社員からシステムへ」か。
以下は選定の出発点です。同じ会社でも両方の構成が必要な場合があります。
本社・支店・店舗を接続
拠点間のネットワークを作る。
拠点内の端末から、別拠点のサーバーや機器を利用する場合。所在地・拠点数・接続先をそろえ、拠点間VPNや専用線を検討します。
接続方式を比べる ↓自宅・外出先から社内へ
人と端末のアクセスを管理。
誰が、どのシステムを使うかを決めます。リモートアクセスVPNに加え、アプリ単位で接続を許可する構成も検討。利用者・端末の確認が要点です。[4]
認証と運用を確認する ↓02 / 回線の方式と制御を分けて考える
VPNは「どの網を使うか」。
SD-WANは「どう使い分けるか」。
方式名を同列に並べて順位を付けると、必要な機能を見落とします。
インターネットを経由
インターネットVPN
インターネット回線上に仮想的な接続を作る方式。既存回線の利用可否や、暗号化した状態での機器性能を確認します。通信品質は利用する回線の影響を受けます。[1]
見積もりで聞くこと:対応する回線・接続方式、同時接続数、機器と設定・保守の費用。
事業者の閉域網を利用
IP-VPN
通信事業者の閉域ネットワークで拠点を接続。対象拠点での提供、必要な帯域、外部クラウドへ出る経路を確認します。閉域という名称だけで品質保証の範囲は決まりません。[1]
見積もりで聞くこと:アクセス回線を含む構成、保証の対象区間、機器・監視・復旧の担当。
広域イーサネットや専用線などの拠点間接続も、要求する構成に応じて候補になります。用語を増やす前に、接続先と品質の条件を固めましょう。
専用線・帯域保証を検討する場合 →03 / 導入後に続けること
つながるだけでなく、
管理を続けられる構成へ。
IPAは外部サービスの認証・権限・ログの見直しや脆弱性対応を案内しています。契約前に担当者と実施範囲を決めておきましょう。[3]
- 誰に許可するか
- 多要素認証、利用端末、接続できるシステムを整理。異動・退職時に権限を外す担当も決めます。
- 誰が更新するか
- 機器のサポート期限、更新通知の確認、パッチ適用、停止を伴う作業の時間帯を決めます。
- 異常をどう知るか
- ログの保存期間、確認担当、障害・不審な接続の通知先を決めます。保守契約でどこまで対応するか確認します。
- 止まったらどうするか
- 予備回線に切り替えてもVPN接続・認証・業務システムが動くか、導入時に試験します。
閉域網への接続やVPNの導入だけで安全性は完結しません。ネットワークの位置だけを信頼しない考え方も、アクセス設計の参考になります。[4]
04 / 同じ条件で見積もりを取る
回線・機器・運用を、
ひとつの見積もりで見る。
接続先の一覧を用意。
本社・支店の所在地、在宅勤務者数と同時接続数、使うシステム、現在の回線とルーター型番を整理します。
必要な時間と品質を伝える。
混み合う時間、転送するデータ、停止したら困る業務、対応してほしい曜日・時間帯、開通希望日を伝えます。
費用と担当範囲をそろえる。
回線・機器・ライセンス・初期設定・監視・現地対応を含む総額を比較。追加拠点・利用者増・解約時の費用も確認します。
相談前に、条件を整理
必要な接続と保守を、相談メモへ。
回線だけを比較したい方は法人光回線の一覧へ。VPNの機器・設定・運用が含まれるかは、個別に確認してください。
導入前のよくある疑問
固定IPは必須ですか?
サービス・機器・接続構成によります。固定IPを前提にせず、DDNSや閉域接続なども含め、提供元に必要条件を確認してください。固定IPの解説を読む →
社員数だけで回線速度を決められますか?
同時に使う人数、映像会議やファイル転送、VPN機器の処理能力によって変わります。従業員数だけで1ギガ・10ギガを決めず、同時利用の内容を伝えて試験条件を決めましょう。
出典・確認した資料
本文で参照した仕様・考え方の資料です。2026年10月23日に掲載内容を確認しました。
- NTT東日本:インターネットVPNとIP-VPNの違い ↗
通信に使うネットワークと、回線品質による影響。
- NTT東日本:Managed SD-WAN ↗
複数回線・経路の制御、可視化と運用の機能例。
- IPA:不正アクセスによる漏えい等を踏まえた対策(2026年10月9日) ↗
脆弱性対策、認証、権限、ログの点検・管理。
- NIST SP 800-207:Zero Trust Architecture ↗
ネットワーク内にいることだけで信頼せず、利用者・端末とアクセスを確認する考え方。