法人ネットワーク設計 / 専用線・帯域保証
専用線は、どの区間を保証したいかで選ぶ。
「速い回線がほしい」を、契約で確かめられる条件へ。
本社と支店を結ぶ回線と、外部のクラウドを使う回線は目的が違います。最大速度だけでなく、必要な区間・帯域・復旧体制をそろえて比べましょう。
01 / どこへつなぐか
拠点間の接続と、
インターネット接続を分ける。
本社 ↔ 支店・データセンター
指定する地点間を結ぶ専用線。
自社の拠点同士を接続したい場合。たとえばKDDIの国内イーサネット専用サービスは、2拠点を結ぶ構成です。利用する2地点、必要な帯域、接続機器を伝えて検討します。[1]
向いている検討:拠点間のデータ転送や、社内システムとの接続区間に品質条件を設けたい。
自社 ↔ インターネット
帯域確保型の接続サービス。
インターネットへの接続品質を契約条件で確認したい場合。Super OCN Flexible Connectのように、帯域確保とSLAを仕様に持つサービスがあります。[2]
向いている検討:外部への通信に必要な帯域を確保したい。ただし、利用先までの全区間を保証するかは別の確認です。
02 / 契約で見る4つの違い
最大速度、保証帯域、SLA。
同じ意味ではありません。
「10ギガだから、常時10ギガで通信できる」とは限りません。比較する仕様を分けて、対象区間を図に書き込んでもらいましょう。
- 最大通信速度
- 接続の規格上の上限。実際の通信速度や最低限の帯域を、その数字だけで判断しません。
- 保証・確保する帯域
- 何Mbps・何Gbpsを、どの方向・区間で確保するか。アクセス回線と事業者網、外部接続の境界を確認します。
- SLA
- 品質の基準と、基準を満たさなかった場合の扱い。OCNの例では故障回復・通知・遅延・パケット損失率などに条件があり、対象区間と返還対象料金も定めています。[3]
- 保守・復旧対応
- 受付時間、調査開始、現地出動、機器交換の範囲を確認。「24時間受付」と「いつまでに復旧するか」は分けて聞きます。
03 / 停止したときの業務を考える
2本あれば安心、で終わらせない。
以下は冗長化を設計するときの確認例です。どこを共用しているか、代替回線で何を続けるかを設計担当者と整理します。
共通の故障箇所を減らす。
引き込み経路、局舎、ルーター、電源など、2回線に共通する箇所を確認。異なる事業者の契約でも、設備が分離されているとは限りません。
切り替え後の業務を試す。
VPN・固定IP制限・音声通話・クラウドへのログインまで確認します。自動か手動か、誰が操作するか、元に戻す手順も決めておきます。
04 / 見積もりの前提をそろえる
月額の前に、
見積もりに含む範囲を決める。
帯域・拠点・アクセス方法・保守条件で費用は変わります。一律の相場より、自社の構成を同じ条件で見積もることが大切です。
接続する場所と、必要な通信を伝える。
両端の住所・建物名、用途、上下方向の転送量、同時利用、希望の開通日、許容できる停止時間を整理します。
初期費用と毎月の総額を分けて確認。
工事、アクセス回線、機器、設計・設定、監視、現地保守、予備回線を明細で確認。従量課金がある場合は、利用量が増えたときの金額もそろえます。[2]
増設・移転・解約まで比較。
最低利用期間、途中解約の負担、帯域変更や拠点追加の費用、工事期間を確認。導入時の接続試験と責任分界点を提案書に含めてもらいます。
構成を決める前に
業務と停止時の条件を、相談メモへ。
一般的な法人光回線も比較する場合は、必要な品質・保守を満たせるかを個別に確認しましょう。
契約前のよくある疑問
専用線なら、クラウドも必ず速くなりますか?
拠点間専用線は指定地点間の接続です。外部クラウドを使うなら、インターネットへの出口やクラウドとの接続を含めて設計します。保証対象の外に原因がある場合まで、専用線だけで改善できるとは限りません。
大企業でなければ不要ですか?
会社の規模より、必要な通信品質と停止の影響で判断します。小規模でも特定区間に厳しい条件がある場合は検討対象です。逆に、一般的な回線と代替手段で要件を満たせる場合もあります。
出典・確認した資料
本文で参照した仕様・考え方の資料です。2026年10月23日に掲載内容を確認しました。
- KDDI:国内イーサネット専用サービス ↗
指定する2拠点をイーサネット方式で結ぶサービスの構成例。
- NTTドコモビジネス:Super OCN Flexible Connectの仕様 ↗
帯域確保型インターネットの品質、課金、アクセスと契約条件の例。
- NTTドコモビジネス:法人向けOCNのSLA ↗
故障回復・通知・遅延・損失率の基準、対象区間、料金返還の条件。